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Bar美術の扉
北方ルネサンス
ここでいう「北方」とはアルプスより北のネーデルラントとドイツを指します。
☆大事な補足☆
ネーデルラントの北→現在のオランダ
ネーデルラントの南→フランドル(現在のベルギー)
中心となるフランドル地方では、15世紀には毛繊物工業が発達し、貿易も栄えて、豊かな経済力を背景にいち早く市民文化が栄えていました。またこの地方は油絵具の原料であった亜麻仁油の産地だったのです。
代表的な画家と作品の紹介
①フランドル
北方ルネサンスのフランドル画家で絶対覚えるべき超重要な画家は、初期フランドル絵画の創始者で油彩技法を確立し「神の手を持つ男」と呼ばれた画家ヤン・ファン・エイクです。
何が凄いってとにかく緻密で目を見張ります😳画像じゃ伝わり切らないのでぜひ本物の作品を見に行ってほしい画家の1人です。
代表作品を2つご紹介します。
「アルノルフィーニ夫妻の肖像」(1434年)/ロンドンナショナル・ギャラリー

超人的な緻密さで、手をつなぐ男女と室内風景が描かれており、これはアルノルフィーニ夫妻の結婚記念図とされています。
微細に描かれた室内の事物には、犬は夫への貞節を、脱ぎ捨てられたサンダルは神聖な場所を、昼なのに灯っているろうそくはキリストを象徴する、というような意味が隠されています。
奥の壁をズームアップ!!

流麗なカリグラフィーで「ヤン・ファン・エイクがここにいた、1434年」と書かれており、その下の凸面鏡の円形の縁飾りにまでキリストの生涯が描かれ、鏡面には手前の男女の後ろ姿と、さらに人の人物が映っておりそれはヤン自身ともうひとりの結婚立会人だと考えられています。
とんでもなく緻密でまだ絵画の時代は始まったばかりだというのに超人的な技術力、まさに神の手を持つ男!!
ちなみに鏡に画家の姿を描き込むというアイディアは、17世紀スペインのベラスケスに影響を与えました。
もう1枚有名な作品は亡くなった兄フーベルトの仕事を継いで完成させたフーベルト&ヤン兄弟作、
「ヘントの祭壇画」(1432年)/聖バーフ大聖堂,ヘント(ゲント)
こちらの写真は2023年の夏に私がベルギーを訪れた時に実際に撮った写真です!

そして下の段の真ん中の絵が「神秘の仔羊の礼拝」と言われるこのヘントの祭壇画の中でも一番有名な部分!!
ものは遠ざかるにつれて、空気の層を通して青く淡く見えていくという空気遠近法の原理が初めて使われ、この技法は以後も多くの画家に引き継がれていきました。特にこの効果はレオナルド・ダ・ヴィンチの作品によく見ることができます。

さらに修復されたばっかりの
神秘の仔羊をズームアップ!!

特に代表的な作品はこの2つなのでこれだけ覚えられれば大丈夫ですが、ヤン・ファン・エイクの緻密力の凄さを伝えるためにもう1枚ご紹介します。
この下の絵はベルギーのブルージュのグルーニング美術館にあるヤン・ファン・エイクの「ファン・デル・パーレの聖母子」という作品です。

一部をアップで撮った写真がこちら!!

これを見て、ヤン・ファン・エイクの凄さが少しでも伝われば嬉しいです。
②ネーデルラント
北方ルネサンスのネーデルラントの画家にも覚えるべき超重要な画家が2人います。
ヒエロニムス・ボスとピーテル・ブリューゲル(父)です!
それぞれ代表的な作品をご紹介します、きっと見たことがあるはず。
まずはこちらヒエロニムス・ボスの代表作「快楽の園」です。

そしてヒエロニムス・ボスが影響を与えた画家であるピーテル・ブリューゲル(父)の代表作「バベルの塔」です。

また農民の画家ブリューゲルと言われこのような農民風俗画をたくさん描いており、風景画において後世に大きな影響を残しています。


③ドイツ
北方ルネサンスのドイツを代表する画家はアルブレヒト・デューラーで、ドイツ美術史上、数少ない世界的巨匠です。
(ドイツの芸術は美術より音楽が発展するからです!)
デューラーは美術史上で最も早く独立した自画像を描いた画家であり、こちらが有名な「1500年の自画像」です。
キリストを連想させる自画像で、自らをドイツにおける芸術の改革者として描いています。

またデューラーは版画家としても大きな成功をおさめ、こちらが有名な銅版画の「騎士と死と悪魔」です。
油彩画より安価で流通も容易な版画によって、彼の名声はヨーロッパ中に広がりました。

デューラーと同時代を生きたもう一人のドイツ人画家の巨匠は、ルーカス・クラナッハ(父)です。
彼は宗教改革者マルティン・ルターの友人であり、ルターやその家族の肖像を多く描いています。
またクラナッハはサロメとユディトを描いた画家としても有名です。
◯サロメは新約聖書に登場する人物で、ユダヤの王ヘロデの誕生日の宴会で踊りを披露しその褒美に洗礼者ヨハネの首を求めたと言われており、手に洗礼者ヨハネの首を持っています。
◯ユディトは旧約聖書外典に登場する人物で、ホロフェルネスという敵の将軍の首を切り落とすことで自分の町を救ったとされており、手にホロフェルネスの首を持っています。
下の2枚の絵はタイトルがなくても、手に持っているものからどちらがサロメでどちらがユディトなのか当てることができます。


クラナッハの描く女性の不気味とも思える妖艶さは、一度見たら忘れられない魅力がありますね!
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