Bar美術の扉
スペインの黄金時代
バロック美術の巨匠ベラスケスが誕生するのは黄金時代が自滅に向かう衰退期です。
太陽の沈まぬ世界帝国スペインの繁栄から衰退までの流れを年表形式で解説します。
内容が難しい人は色付きの文字だけ見て下さい。
スペインは長らくイスラムの支配下にありましたが、15世紀になってようやくカトリック教徒が奪還。
アラゴン王太子フェルナンドとカスティーリャ王女イサベルが結婚し
1479年:イベリア半島のアラゴンとカスティーリャが合併して、スペイン王国が成立
1492年:グラナダのアルハンブラ宮殿が陥落し、ナスル朝は滅亡、レコンキスタ(国土回復運動)はここに終結
同年イサベル女王の資金援助でコロンブスがインド諸島に到達、すなわちアメリカを発見(新大陸発見)
1494年:トルデシリャス条約(スペインとポルトガルによる独占的な世界分割)→広大な植民地を獲得して世界帝国となっていく
1516年:オーストリア・ハプスブルク家の父とスペイン王女フアナの子でヨーロッパ史上最強の血筋を引いたカルロス1世(カール5世)が即位
1533年:ペルーのインカ帝国を略奪(スペイン人のピサロに従服され滅びる)
1556年〜98年:フェリペ2世即位(スペイン黄金時代)
1571年:オスマン帝国をレパント沖の海戦で破る
1580年:アフリカ遠征で国王が戦死し血統の絶えたポルトガルを併合→全イベリア半島の政治的統合を果たす
→この結果同時にほぼ全世界の植民地を一手におさめることになり、アメリカの銀を有力な財源(銀生産の中心はペルーとメキシコ)とする
「太陽の沈まぬ世界帝国」を形成
1586年頃:「オルガス伯の埋葬」エル・グレコ

この絵画はスペインのトレドのサント・トメ教会にあり、世界4大絵画の一つで、作者のエル・グレコは後期ルネサンスのマニエリスムからバロック時代にかけて活躍した画家です。
画面が上下で分割されており、地上界の埋葬シーンと、魂が昇天する天上界のシーンが一枚に描かれています。
この天上界の聖人たちの中に、本来いるべきではない生きた人間であるスペイン王フェリペ2世が描かれており、これは亡くなっていないのに天上界の仲間に迎えられるほどの栄光の人物であることを示しています。
しかしネーデルラントに独立運動がおこり、この鎮圧のために膨大な戦費を要するようになります。
またやがてアメリカからの銀の供給も減少してしまったため、スペインの繁栄は長くは続きませんでした。
1588年:アルマダ海戦(イギリス海軍がスペインの無敵艦隊(アルマダ)を破った海戦。スペインの衰退とイギリスの台頭の契機となった)
1618年:三十年戦争(ドイツを中心に欧州各国が参戦し最後にして最大の宗教戦争、当初は旧教徒と新教徒との対立軸であったがスペイン=オーストリアのハプスブルク家とフランスのブルボン家という国際的な対立軸に転換)
1640年:ポルトガルが再独立
1648年:ウェストファリア条約(ネーデルラント(オランダ)共和国とスイスの独立が国際的に公認etc)
そしてここで登場!!!
バロック美術の巨匠ベラスケスによる世界4大絵画の一つ
1656年:「ラス・メニーナス」ディエゴ・ベラスケス

このタイトルのラス・メニーナスとは「宮廷の侍女たち」という意味で、画家ベラスケスが仕えたスペイン王の家族が描かれています。
鏡に映るフェリペ4世、そして主役は真ん中のマルガリータ王女です。
作者である画家ベラスケス自身も描かれていることにも 注目。
この登場人物は下の年表でチェックしてみて下さい。

この年表はマルガリータ王女の代で終わってますね。
そう、スペイン・ハプスブルク家の最後の王はマルガリータ王女の弟カルロス2世。
血族結婚を繰り返し異様なまでに血を濃縮させたことで跡継ぎが生まれず自滅という結末を迎えます。
ただ世界史だけではなく美術史においても凄いことは、5人の王が生まれたスペイン・ハプスブルク家(1500〜1700)の王である2人が世界4大絵画のうちの2枚に登場していることです!!
(世界史の解説が難しくて良く分からなかった人はこのことだけでも覚えてくれたら嬉しいです😁)
1700年:スペイン・ハプスブルク家終焉
1701年〜1714年:スペイン継承戦争
13年続いたこの戦争はユトレヒト条約が結ばれたことで終結
フランス・ルイ14世の孫フェリペ5世の即位が承認(スペイン・ブルボン朝へ)ただしフランスとスペインの合併は永久に禁止
そして、このスペイン・ブルボン朝は3度の中断を挟みながらも現在まで続いており、現国王はフェリペ6世です。(2025年現在)
すごい!!